PLC制御エンジニアとして企業には配属されて「何から勉強したらよいだろうか?」と考えている方は多いのではないでしょうか。私もその一人でした。
本記事では、私が実際に購入して読んだPLC初心者におすすめの書籍をご紹介します。
加えて、新入社員に何から教えればよいのか迷われている上司の方も必見です。
そもそもPLC制御技術者の勉強すべき内容とは?
私が考えるPLC制御技術者の勉強すべき内容とは以下です。
- SE(システムエンジニア)として成長していくための勉強
- PLC制御エンジニアとして成長していくための勉強
SE(システムエンジニア)としての勉強
職種という視点のマクロから見れば、我々は、システムエンジニアのなかの組み込みエンジニアです。
あくまでプログラム言語としてPLCで使用可能な言語(ラダー、ST、FBDなど)を扱っているにすぎません。
よって、自分が「SEである」という自覚を持つことが重要であると私は考えています。
勉強内容の例としてソフトウェア開発手法があげられます。
PLC制御エンジニアとしての勉強
PLC制御エンジニアとして勉強するべき内容としては
- ラダー、ST、FBDなど言語を使用したプログラミング
- 機械・電気の知識
- 産業用ネットワークの知識 etc.
などなど幅広く勉強する必要があります。
勉強手法の選択肢はさまざま
勉強方法は様々です。
- 仕事としてON JOBで学ぶ=実務経験を積む
- ネット講座で学ぶ
- PLC機器開発メーカの講座を受講する
- 書籍で学ぶ
私個人としては、全ての方法で勉強すべきだど考えております。
本記事では「書籍で学ぶ」選択肢でご紹介します。書籍で学ぶメリットは以下です。
書籍で学ぶメリットは、「対象の分野を体系的・網羅的に学べる」ことです。
実務経験で偏りがちな知識を補填する方法として、書籍は最良の勉強方法の一つです。
PLC制御エンジニアにおすすめの書籍
カラー徹底図解 基本からわかるシーケンス制御
- レベル:初級
- 対象者:ラダー技術者はもちろん、制御盤設計者
- 良いねPOINT!:
- 制御対象となる押しボタンスイッチやセンサなどのハード機器を、詳細なカラー画像で学べる!
- 実例集にはタイムチャートがあり、時系列でのシステムの動作をわかりやすく学べる!
- シーケンス図上に①②など番号が記載されており、読者が回路動作の流れを理解しやすい!
本の特徴
ハード中心
一言でいうと「ハード中心」で書かれた書籍という印象です。
”制御とはハードというものを動かすために存在する”ということを知るためにもってこいの書籍です。
前半1/3の紙面を使用して、実物の電磁リレー・構成機器の説明や、”図面”としてのシーケンス図の書き方の説明があります。
回路の動作の流れが詳細に記載
後半では、基礎的な自己保持回路や応用的な電動機制御まで、シーケンス図の例が記載されています。
特徴的なのが、シーケンス図上に①②など番号が記載されており、読者が回路動作の流れを理解しやすいように工夫している点です。
ほとんど全ての回路で記載されていますから、初心者の私でもわかりやすくて助かりました。
タイムチャートの併記
制御設計で外せないのがタイムチャートの存在です。
実際の回路の設計前にタイムチャートを設計することも多いですし、テストの際にも使用します。
本書では、シーケンス図とセットでタイムチャートを併記していますので、筆者の思いがわかる特徴でしょう。
シーケンス図とタイムチャートを交互に見ながら、シーケンス図の理解度を深めることができ、非常にわかりやすい書籍です。
詳細な章立てや記載内容を知りたい方はこちら
ゼロからはじめるシーケンス制御
- レベル:初級
- 対象者:制御プログラム設計者、PLCハード設計者
- 良いねPOINT!:
- PLCの選定から機器接続、立ち上げまで一貫して学べる
- PLCのプログラミング手法・ルールを学べる
- 制御設計の実務の流れを疑似体験することができる
本の特徴
PLCの選定から機器接続、立ち上げまで網羅
PLCの構造・入出力機器の接続・PLCの選定と立ち上げまで、詳細に解説。
特に、第5章のPLC機種選定のチェック項目の図は秀逸。
要求仕様と制御対象機器の観点から選定基準10項目を詳細にリストアップ。
この1ページだけでも購入価値十分あり。
PLCのプログラム手法を学べる
「こういう情報が欲しかったんだよ!」
私が本書を立ち読みして購入した最大の理由
「第3編第1章 ラダー図のための5種類のプログラミング手法」
これは全世界のPLC制御設計技術者の必修科目としたいくらい。
制御対象のモデル化→ラダー図作成手法を、なんと5つも紹介してくれる。
誰がみてもわかりやすく、保守性の高いプログラムを作るには必須の知識が学べる。
制御設計の実務の流れを忠実に再現している
実際、私の経験上以下のような手順で業務を進行します。
- 要件定義=ハードとソフトウエアを含めたシステムに要求される機能の明示
- 外部仕様設計=ハード構成や入出力機器など
- 内部仕様設計=モデル化や制御手順の明確化など
- 詳細設計=プログラミング
世の中の制御関連の書籍では4のラダー図の書き方ばかりで、1~3の工程をあまり書いている書籍が少ないと感じています。
対して、本書では、制御対象を実体配線図などで明確に定義したうえで、「どのような動作が要求されているか」→「要求からモデル化」→「プログラミング」の流れを、端的に記載しています。
上記のような、C++やPythonなどの高級言語を使ったソフトウエア開発技法としては当たり前の開発手法が、業界全体として抜け落ちているのではないかと危惧しています。この本を読んで、ソフトウエア開発の常識をかじってみてはいかがでしょうか。まわりの制御設計者と差をつけられることでしょう。
詳細な章立てや記載内容を知りたい方はこちら
必携 PLCを使ったシーケンス制御プログラム定石集
- レベル:初級~中級
- 対象者:
さまざまなハードから構成されたシステムの実例に対してのラダー実装例を学習したい方 - 良いねPOINT!:
- さまざまなセンサやアクチュエータが登場し、
それらから構成されたシステムの実際の制御シーケンスを学べる! - 実例を読む→自分でラダーを組んでみる→答え合わせをすることで、
ラダー制御の勘所を爆速で学べる!
- さまざまなセンサやアクチュエータが登場し、
知識ゼロから楽しく学べる! PLCプログラミング入門(三菱電機GX Works2) 三菱電機プログラミングシリーズⅠ
- レベル:初級
- 対象者:
GX works 2の使い方や初歩的な回路作成方法を学びたい方
(新人教育に最適!新入社員に何を教えればよいのかわからない上司の方も) - 良いねPOINT!:
- GX works 2の使い方や便利な設定を学べる
- GX works 2を実際に操作しながら例題の回路を組めるので、定着しやすい
上記は、GX works 2用ですが、キーエンス KV STUDIO用もありますので、参考にしてください。
実践 PLCプログラム設計
- レベル:初級
- 対象者:
国際規格IEC61131-3に準拠したプログラミング言語の基礎を学びたい方 - 良いねPOINT!:
- FBDやSTなどラダー言語以外のプログラム言語を学べる!
まとめ
本記事では、初心者向けのPLCおすすめ本を紹介しました。
OJTだけではカバーできない、知識の補充として書籍を読むことは大切です。
読書による学習の継続でスキルアップを目指していきましょう!
合わせて読みたい
社内外で評価されるエンジニアになる、ひいてはエンジニア人生を楽しくするためには、
日常のインプットとアウトプットの重要性が日に日に増していることを実感しています。
そのなかで、私は「書籍による学習」と「ブログによるアウトプット」を強くおすすめしております。
その重要性や効果の実感をブログに書いてみましたので、参考にしていただければ幸いです。



