本記事では、「カラー徹底図解 基本からわかるシーケンス制御」の本の内容とその特徴はもちろん、おすすめポイントを解説します。
結論、本書は「初心者全員におすすめできる書籍」です。
- レベル:初心者
- 対象者:ラダー技術者はもちろん、制御盤設計者
- 良いねPOINT!:
- 制御対象となる押しボタンスイッチやセンサなどのハード機器を、詳細なカラー画像で学べる!
- 実例集にはタイムチャートがあり、時系列でのシステムの動作をわかりやすく学べる!
- シーケンス図上に①②など番号が記載されており、読者が回路動作の流れを理解しやすい!
目次と構成
※著作権の関係上、すべての目次を書けませんので、大まかな章立てまでの表示としています。
1~2章:シーケンス制御の基礎知識と構成機器
前半の2章は、シーケンス制御の基礎である接点や構成機器の説明が中心です。
本の題名で「カラー徹底図解」と書いてある通り、
カラー図解で、リレーやスイッチ、主要なアクチュエータなどが、紙面の多くの割合を占めています。
文章の説明とカラー写真の対応がしっかりしていますので、すっと頭に知識が入ってきて好印象です。
3章:シーケンス図とタイムチャート
シーケンス図の書き方や読み方、構成に使用する図記号まで詳しく記述されています。
また、後半で回路とセットで必ずタイムチャートが書かれる構成上、
タイムチャートの説明が、前半のこの章に記載されています。
4章:基本接点回路と論理回路
この章では、基本論理回路(AND、OR、NOT)やこれらを組み合わせた論理回路(NAND、NORなど)が説明されている。
接点を使用した基本的な回路のパターンを学習することで、次章以降の自己保持回路などの理解の導入となります。
5~6章:自己保持回路および優先回路
自己保持回路はラダー図では外せない内容です。
本書では、復帰優先型と動作優先型の両者がわかりやすく書かれていますので、
この部分だけでも読む価値ありですね。
優先回路では、基本のインタロック回路から、新入力優先回路、順序動作回路など、
実務に必要な応用回路が紹介されています。
7章:タイマ回路
タイマを使用する回路は実務でもよく使いますので、初心者向け書籍での記載はMUSTでしょう。
本書はしっかり本章で7節分にわたって解説されています。
個人的には、実務でよく使用する「タイマによるステップのつなぎ回路」が記述されているのは
GOODなポイントですね!
8~9章:応用回路と実例
電動機制御回路や給水制御回路など、実際に世の中で使用されている実例が多数紹介されています。
この章では、電動機を動かすなどの「機能」をどのようにシーケンス制御で「実装」されているのかを学習できます。
本の特徴
ハード中心
一言でいうと「ハード中心」で書かれた書籍という印象です。
”制御とはハードというものを動かすために存在する”ということを知るためにもってこいの書籍です。
私は以下の文章が本書籍の特徴をあらわしていると思いますので引用します。
シーケンス制御の設計や工事、検査、保守点検には様々な図面が使われる。一般的な回路図や実体配線図はもちろん、各装置の配置図や配線系統図など数多くの図面が使われるが、その基本になるのがシーケンス図だ。
回路の動作の流れが詳細に記載
後半では、基礎的な自己保持回路や応用的な電動機制御まで、シーケンス図の例が記載されています。
特徴的なのが、シーケンス図上に①②など番号が記載されており、読者が回路動作の流れを理解しやすいように工夫している点です。
ほとんど全ての回路で記載されていますから、初心者の私でもわかりやすくて助かりました。
タイムチャートの併記で時系列の動作がわかりやすい
制御設計で外せないのがタイムチャートの存在です。
実際の回路の設計前にタイムチャートを設計することも多いですし、テストの際にも使用します。
本書では、シーケンス図とセットでタイムチャートを併記していますので、筆者の思いがわかる特徴でしょう。
シーケンス図とタイムチャートを交互に見ながら、シーケンス図の理解度を深めることができ、非常にわかりやすい書籍です。
気になるところ
- シーケンス図が、ほとんど縦書きシーケンス図で記述されているため、仕事上横書きシーケンス図になれている方からすると、なれるまでに少し時間がかかった。
- シーケンス図には電気用図記号が接点として使用されているため、PLCソフトウエア開発を主戦場とした方は少しとっつきにくい。しかし、それが勉強になるともいえる。
まとめ=推しPOINT!
- レベル:初心者
- 対象者:ラダー技術者はもちろん、制御盤設計者
- POINT!:
- 制御対象となる押しボタンスイッチやセンサなどのハード機器を、詳細なカラー画像で学べる!
- 実例集にはタイムチャートがあり、時系列でのシステムの動作をわかりやすく学べる!
- シーケンス図上に①②など番号が記載されており、読者が回路動作の流れを理解しやすい!


